「健」 ~10月の稽古テーマ

健康の「健」は、
【「にんべん」+「えんにょう」+「ふで(聿・筆)」】。


身心の状態を表す「けん」(すこやか)という言葉に、
古代の人は、どうして「聿(筆)」を組み込んだのでしょう。

タイムマシンがないので仮説にとどまりますが、
もしかしたら、「筆のように動く身体こそ健康なんだ」と
感じていたのかもしれません。

そうだとすれば、「筆のように」とは、
どのような状態をいうのでしょう。
改めて、本物の筆を手に取ってみましょう。


中空の筆管が穂先を通じて、地面に真っすぐ通ります。
筆毛に墨を含めると、毛束が纏まり、その保水力で潤います。
紙に当ててみれば、弾力があり、先が利いています。


つまり、「筆のように」とは、
【①軸が通る・②弾力がある・③先が利く】ということ。


古代人は、この筆のような動きが體から引き出され、
心地よさで満たされた感動を、「健」として表したのではないでしょうか。

本物の筆は、たった一本で多種多様な線が引けるがゆえに
「最高の筆記用具」と言われます。

ただ、古代人の感覚からすれば、
「最高の健康用具」と言ったほうがいいかもしれません。


「筆」とのハーモニーを楽しんでいたら、
いつのまにか、自分の體から「健」が引き出されていた…。


今月も、そんな健やかなトキメキを、
自分と筆の通りを良くしながら味わっていきませんか。              

書法家・武田双鳳

書法家・武田双鳳は、書を通じて、それぞれの人生を豊かにデザインする活動をしています。

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