坐るという運動
書の世界では、
以下の3つが大切だと言われます。
①結構法(字形のとり方)
②筆法(筆の使い方)
③章法(字の配り方)
そのため、
一般的な書道のお稽古では、
基本線や臨書などを通じて、
①~③の反復練習を行います。
ところが、今の私たちが、
書道の練習を①~③に限ってしまうと、
「みせかけ」にしかならない恐れが
多分にあります。
①~③を導き出し、
書を文化として高めていった
古人の身体には、
おそらくですが、
「足腰がある」という
前提がありました。
今の私たちの身体は、
どうでしょう。
昔の女性のように、
米俵5俵(300キロ)を
かつげる足腰はあるでしょうか。
もちろん、
ボタン一つで荷物が届く私たちが、
薪割りなどをしていた
古人の身体に戻ることはできません。
しかし、
身体感覚と表現手法は表裏一体。
身体感覚を無視して、
手っ取り早く①~③だけを
上達させようとする稽古は、
果たして、「ほんもの」の書を
生み出すことができるのでしょうか。
当道場の稽古で
身体感覚を味わう時間を大切にするのは、
「ほんもの」に触れ合いたいから。
その触れ合いの中にこそ、
「豊かさのタネ」があるように思えて
仕方がないからなのです。
「書く」の前に
「坐るという運動」を。
今月も、自分の身体のあり方を
感じる稽古から始めます。
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